【コース概要】
　 奈良県吉野の大峰山系にある修験道の山、山上ヶ岳に登ってきました。女人禁制に守られた独特の雰囲気や山上の宿坊も体験出来て、面白い体験ができました。

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洞川温泉から清浄大橋を経て山上ヶ岳　ルートマップ

洞川温泉バス停

洞川温泉の旅館

洞川温泉の街並み

　 近鉄吉野線で下市口駅まで行き、そこから奈良交通バスに揺られて約1時間で洞川（どろかわ）温泉に着く。
途中の車窓からしてどれだけ辺鄙な所かと思いきや、意外に開けた温泉街だった。それぞれの講が定宿としている旅館が立ち並び独特の雰囲気だ。バス停からこの旅館街を抜けて登山口に向かう。

陀羅尼助丸のお店

母公堂

清浄大橋の駐車場

　 旅館街を抜け、しばらく寂しい車道を歩いて行くと母公堂というお堂が現れ、女人結界の石柱が立っている。しかし、ここからさらに車道は続いており、実際の女人結界はこの先である。尤も、昔はここが結界だったのかもしれない。
　 さらに進んで行くと、車道は二手に分かれる。右方向に歩いて行くとすぐに大きな駐車場と売店がある。平日ともあって売店は営業していなかったが、杖のレンタルはセルフで借りることができるようになっていた。

清浄大橋

結界門近くの石碑群

女人結界門

　 売店の少し先に清浄大橋があり、それを渡ると石碑や石像が立ち並ぶおどろおどろしい場所になる。その先に日本唯一となった女人結界門が遂に現れた。

女人結界門からの石畳

一本松茶屋

一本松茶屋の内部

　 女人結界門を越えると、しばらくは石畳の道となる。心なしか清浄な気持ちになる。すぐに広場（一ノ世茶屋跡）が現れ、小さな祠がある。祠には貼紙があり、祀られていた神像が持ち去られたとのこと。何とも罰当たりな入山者が居るものだ。
　 道は沢沿いをなだらかに登っていく。千数百年の伝統ある道と思うと心が引き締まる感じだ。最初に一本松茶屋が出てきた。道が小屋の真ん中を通っていくのは面白い。今は売店などは無く休憩できるだけである。

お助け水

洞辻茶屋

小天井ヶ岳方面分岐

　 お助け水で一服して更に足を進めると稜線上の開けた場所に出る。ここは小天井ヶ岳からの道が合わさる場所で洞辻小屋という大きな小屋がある。

洞辻茶屋の神像

石碑の建ち並ぶ場所

山上ヶ岳山頂方面を望む

　 このあたりから周囲の見晴らしが良くなり、山上ヶ岳の建物もはっきりと望まれるようになる。神像や石碑も立てられていて霊場の雰囲気がより強くなってきた。

売店の内部

皇太子徳仁殿下（今上陛下）御着座場所

油こぼしの階段

　 いくつかの小屋を通り抜けていたら、今上陛下御着座の貼紙がある。ここまでいらっしゃっていたとは驚きだが、この先どこかの宿坊に泊まられたのだろうか？
　 この辺りにあるいくつかの茶屋を抜けると、いよいよ油こぼしの急登に差し掛かる。ただ、帰りに分かったのだが、本来の油こぼしは別のルートであった。

御亀石

大峰山等覚門

等覚門内側の様子

　 油こぼしの連続階段を登りきると鐘掛岩方面と書かれた道の分岐に出る。ここまで登ってきて息も絶え絶えなので休憩とする。時間的にも余裕はないので鐘掛岩は帰路に寄ることとして先を急ぐ。
　 御亀石の脇を登っていくと門のようなものがあり、これを越えると再び石碑のようなものが並ぶ場所に入り込み、いよいよ大峯山寺の内陣に入り込んだ雰囲気である。

山上宿坊遠望

山上ヶ岳山頂付近の岩場

西の覗からの眺望

　 岩盤が露出した場所を越えて行くと宿坊が姿を現し、西の覗と云う修行場が現れる。岩の上に登ってみると景色は素晴らしいが、さすがに高度感があり怖い。

西の覗の修行場

山上宿坊エリア

宿坊・桜本坊

　 西の覗から元の道に戻り岩壁の横を越えていくと、遂に宿坊のある場所に出た。先ほどからほら貝の音が聞こえて、てっきり修験道の行者が吹いているのかと思ったら、今回宿泊予定の桜本坊の従業員が吹き鳴らしていたのだった。

桜本坊の一階食堂

宿坊の客室

宿坊のお風呂

　 今回泊まる桜本坊は宿坊のなかで一番高所にある。入り口を入ると奥に祭壇があり宿坊らしき雰囲気がある。従業員は４０代と３０代後半のお兄さん２人で、修行者のようには見えない。ご飯は何時からにしますかと言われたので、夕食・朝食ともに６時にしてもらった。
　 宿泊部屋は全て２階にあり、４人部屋が10室くらいあった。ちなみにこの日は私たち２人しか宿泊客は居なかった。

精進料理の夕食

宿坊の売店

神変大菩薩の祭壇

　 夕食はまさに精進料理。ご飯とみそ汁はお櫃や鍋で出されるので実質食べ放題だが、おかずが質素でそんなに食べられるものではない。ふりかけくらい持ってくればよかったかも。食事後、奥の祭壇を覗いてみると神変大菩薩（役小角）の像が安置されていた。
　 宿坊は電気が通じているようで、電灯の使用に制限はない。廊下にコンセントがありスマホを充電できた。電波はわずかながらつながるので、文字だけならどうにか読めるが、写真をSNSにアップするのは少々厳しい。その日は10時頃就寝した。

一層シンプルな朝食

大峯山寺の山門

大峯山寺の本堂

　 翌朝は５時過ぎに起床。窓にカーテンも何もないので、この時期明るくて寝ていられない。朝食は朝６時から、内容は昨日の夕食に増して質素である。朝から小雨になってしまったので雨具を着て大峯山寺に向かう。宿坊のすぐ上にあり、歩いて５分ほどだ。
　 山門とも鳥居ともつかない門をくぐると大峯山寺の境内に出た。本堂にはお坊さんが３人ほどいて、お守りや御朱印への対応をしている。ここで持ってきた御朱印帳に御朱印をいただき、お守りもひとついただいた。。

奉納された額

皇太子徳仁殿下御登山記念碑

頂上お花畑

　 境内には本堂の他、奉納された額のようなものを収める建物や皇太子殿下登頂記念碑などがある。

山上ヶ岳一等三角点

聖蹟「湧出岩」

湧出岩御本体

　 山上ヶ岳の山頂は境内の背後の小高い場所にある。三角点があり、その脇の囲いの中に湧出岩というものがある。ここが山上ヶ岳の最高点である。

宿坊・桜本坊に戻る

西の覗の石碑

鐘掛岩の神像

　 山頂を辞して宿坊に戻り、従業員さんにお礼を言って下山開始。西の覗の神像にお参りしてから、昨日登ってきたとき後回しにした鐘掛岩に向かう。山頂付近で降っていた小雨は、この頃には既にやんでいる。
　 この時間、既に早朝から登ってきた人たちが姿を現していて、鐘掛岩方面から続々やってくる。鐘掛岩は岩場の上にあり、鎖をつかんで登っていくと、そこにも神像があった。この鐘掛岩から鎖が下に伸びている。このとき初めてこちらが修行の鎖場コースだったことに気が付いた。

大峯山の行場

油こぼしの鎖場

参詣道と平成新道の案内図

　 ここから直接下る道を進むと修行場の下に出て、やがて鎖場が出てくる。このあたりが本当の油こぼしのようだ。道はやがて登ってきた時の道と合流するが、下から登ってくると、この鎖場コースは分かりにくい。やや危険なので、あまり行かせたくないのかもしれない。直下の茶屋までいくと双方の道案内の看板があった。

一本松茶屋で出会った白装束の講の人たち

女人結界門に到着

結界門近くの神像

　 下っていくと、白装束の山伏姿の人たちが団体でどんどん登ってくる。装束に書かれたものを見ると西九条や泉佐野、堺といった大阪の講の人たちと分かる。皆それなりの高齢者で日帰りとは思えないので、山上の宿坊泊りなのだろう。
　 洞川温泉からの帰りのバスの時間が気になるのでテンポよく下り、やがて結界門に到着した。門を抜けた辺りではどこかの宗教団体が集まって何かの儀式を行っていた。この辺りはどこまでもおどろおどろしい雰囲気だ。

役行者の母を祀った母公堂の様子

名水「ごろごろ水」

洞川温泉バス停に無事戻ってきた

　 清浄大橋を渡って売店前に来たら、今日は土曜日とあって営業していた。このあたりは平日はあまり人は来ないようで、営業も土日中心のようだ。洞川温泉まで車道を歩くが、歩いてこちらに向かって来る人は殆どいない。
　 皆、自家用車で売店近くの駐車場まで来るか、団体の場合は貸し切りバスでやってくるようだ。旅館街を抜けてバス停に着くとバスはもう出発待ちの状態だった。これに遅れると１時間待ちになるので間にあって良かった。

　 今回の大峰山行、今まで是非行ってみたかったので、無事に達成できてよかった。女人禁制など他では見られない独特のしきたりも残っていて、是非こういった文化を後世に残してほしいものだと思う。

（おわり）

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